温めると痛みがマシな理由

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痛みの原因

不通則痛

 中医学(東洋医学)では痛みは血の流れが悪いことで起きると言われています。これを「不通則痛(ふつうそくつう)」と言います。厳密には気血水の流れが悪いとつまりが生じて痛くなるという考え方で、非常に理にかなっています。気血水についてここでは触れませんが、全身を流れる血液は体全体に酸素と栄養を届けていますので、血の流れが悪くなり停滞してしまうと、その先は酸素不足・栄養不足となり最終的には腐って機能しなくなりますよね。そりゃ腐るまえに痛くもなるだろう。

関節への負担と炎症

 関節リウマチ患者さんの場合、関節の変形があれば隣同士の組織とぶつかりあうこと、つまり摩擦などの機械的な刺激で関節周辺に痛みが生じます。軟骨が薄くなり骨がこすれあってしまうなど加齢により関節痛が出る方も似た理由ですね。また病気の特徴として関節周辺の炎症があるため、それらが痛みの原因になります。

温めると痛みがマシになる理由

温めると血流が改善する

 痛いところを温めて血流改善をはかるのは対処方法として有効です。血流がよくなり体の隅々に酸素と栄養が運ばれることで代謝がよくなり痛みの原因物質や炎症物質が老廃物として体外へ排出されるのを助けます。ですから温泉は湯治場と言われ、関節リウマチの有効な治療として広く知らています。
 少し注意点があります。岩盤浴やサウナなども同じように体を温めますが、個人的にはサウナはお勧めしません。関節リウマチの患者さんはもともと虚弱体質の方も多く、合併症で腎臓や肺が弱い人もおられますから、サウナのようにとても暑いところに入ると急に全身の血流がまわりだし、体力的に耐えられない場合があるからです。体の臓器は回ってきた血液を使うために働きますから、もともと弱った臓器が急にフルスピードで働かなければいけなくなると、すぐにしんどくなってしまうのですね。できればゆ~~~っくり、じわじわ温まってほしいです。

温めると筋肉がゆるむ

 体を温めると筋肉がゆるみ柔軟性を向上させます。筋肉がリラックスすると、関節周囲の緊張が和らぎ、関節が動かしやすくなります。こうして関節に過度な負担がかからなくなるため、痛みが軽減されます。

温めると鎮痛物質が分泌される

 体を温めるとエンドルフィンやセロトニンなどの鎮痛作用のあるホルモンが分泌され、痛みがマシになります。具体的には、ウォーキング・ランニング・日光浴・マッサージなどによって体が温まるとエンドルフィンが出ますし、日光浴はセロトニン分泌を促すことも知られています。血液の流れをよくするだけでなくホルモンにも影響するのです。

冷やさないことも忘れずに

 温かい食事で体を温める、ホッカイロやこたつなど外部から体を温めるなど、「温める」方法は、実は簡単に思いつきます。でもずっと看護師として患者として生活してきて思うのは、「冷やさない」ことの大切さです。なぜなら私たちの生活環境は冷えやすい環境にあるからです。夏のエアコンはご承知のとおりですが、秋冬の服装も、食べ物も、体を冷やすものがデフォルトになってきました。私の中医学の主治医は中国人医師ですが、こんなことを言っていました。

「日本のレストランは冬でも氷入りの水を出す。中国では信じられない。体が冷える。」

「日本の中学生や高校生の制服はスカート。冬でもズボンをはかない。体が冷えるので、娘に制服を着せたくない。」

「プリントかヨーグルトとか、常温にしてから食べて。体が冷える。」

体を温めるまえに体を冷やさないのが大前提なのですが、なぜか体を冷やさない工夫が日常生活の中でできていないのだなーと思い知らされますね。夏の暑い時以外、体に冷えたものを取り入れない。何度も生活指導されました。(が、プリンやヨーグルトは冷えたのが好き)

みなさんも、温めて痛み予防、その前に冷え予防、気にかけてみて下さい。

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