関節リウマチは遺伝する?

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関節リウマチは遺伝病ではない

 現在、関節リウマチの原因は不明といわれています。関節リウマチは、特定の遺伝子が親から子へ引き継がれていくような、いわゆる遺伝病ではありません。しかし、関節リウマチになりやすい遺伝的な素因はあるようです。    

関節リウマチの発症に関連する要素

遺伝的な要素

 うちの家系は「膠原病」の人が多い気がします。大叔母はSLE、母は関節リウマチ、私も関節リウマチ、兄弟はシェーグレン症候群。だから、自己免疫システムが弱い家系なのかもしれませんね。同じ家族・家系なので、同じ気温や湿度の環境に住んでいたり、似たような食生活をしていたり、「似ている」のは遺伝子だけではありません。ですから遺伝要素だけが膠原病の原因かはわかりません。似たようなことはガンやアレルギーなど他の疾患でも言われています。

 現在関節リウマチについては、HLA遺伝子とPADI4遺伝子の関連がわかっています。HLA遺伝子は免疫応答に関連する重要な遺伝子ですが、HLA-DRB1遺伝子の特定の変異が関節リウマチの引き金になる可能性が指摘されています。PADI4遺伝子の一部の遺伝子変異も同じようなことが推測されています。しかし、それらはどのくらいの確率で子孫に遺伝するのか?なぜ変異するのか?など詳しいことは不明で、これから研究が進むことでしょう。
 一方で、欧米人患者と比べると日本人患者では遺伝的要因の寄与率が低いとの報告もあります。日本人は環境要因の影響を受けやすい体質的な特徴があるのかもしれませんね。
 

寒冷多湿な環境要因

 一般的に寒冷・多湿な環境は関節リウマチの発症要因と推測されています。例えば、カナダ・ケベック州における地域別の関節リウマチ有病率を調査した研究では、寒冷で湿度の高い地域ほど有病率が高いことが示されました。具体的には、ケベック北部の寒冷地で最も有病率が高く、温暖な南部地域で低い傾向が見られました。気候が発症に影響を与えている可能性が指摘されています。
 関節リウマチと気候については、寒冷・多雨の気候で発症リスクが高まる一方、温暖な気候では低下する傾向があることや、湿度の高さも重要な要因の一つとされています。気圧変動も関節症状に影響を与える可能性が指摘されています。

遺伝か否かの受け止め方

 現時点では絶対に関節リウマチが遺伝する遺伝子は発表されていません。でも家系的に膠原病が多く、私も母も関節リウマチであるため、母は時々「私の体が弱いからね、ごめんなさいね」と言います。親にとっては自分の弱いところが子どもに引き継がれて申し訳ないと思うのでしょう。親としては遺伝疾患かどうかとても気になることですが、実際にはいいところも沢山遺伝していると私は思っています。「でもウチはみんな視力はいいよね~、目は強かったんかな~」なんて言いながら暮らしております。皆様もいろいろと気がかりなことが多いですよね。症状が強い時や、不安なことが多い時は、一度受診してご相談されることをお勧めします。みんなそれぞれの事情があり、受け止め方があります。でも自分の健康に関心が高いことは病気の早期発見と早期治療につながります。

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