昨日の続きで、関節リウマチで鍼灸治療を検討している方のために情報提供として鍼灸治療の体験を書いています。
日本の鍼灸
日本の鍼灸院では腰痛やひざの痛みなど整形外科領域の患者さんの痛みをとるために針を打つところが多いです。今は全身の状態ときには病気を見極めて弱ったところにアプローチする鍼灸師も沢山おられて、私も中医ではない先生に針を打ってもらったことが何度かあります。例えば咳喘息が止まらない時に耳鼻科の先生は手に鍼灸をして一時的に咳をとめてくれました。腰痛がひどかったときに整体の先生が手にお灸と針をしてくれたら腰痛だけでなく倦怠感もとれて体が軽くなりました。このように筋肉のこわばりだけではなく、全身の症状に対して鍼灸は効果があります。しかし日本の鍼灸師は医師ではないので、全身の総合的治療としての鍼灸というよりは、局所の症状をとるための鍼灸をしてくれる印象が強いです。
中医による鍼灸
中医が鍼灸をするときは、症状の根本的原因を治療するために全身をみて病気の診断をしてから鍼灸をします。ですから、春になかなか眠れず考え事が次々に浮かぶ、疲れる、頭に湿疹が出て痒い、花粉で鼻水が出るなどの症状がある時は、西洋医学では不眠に対して睡眠薬、湿疹や花粉症にはかゆみ止めや抗アレルギー薬が処方されますが、中医学では肝臓を治療します。中医学的には春は肝臓が活発になる時期で弱りやすい時期でもあり、肝臓が弱ると入眠しにくくイライラがでて疲れるので肝臓を治療するのです。また中医学では春は体の中の水分が滞りやすく首から上に症状がでやすい時期ととらえています。ですから、水分が外に出ようとして湿疹や鼻水という形になって現れるため、水分をうまく排泄する治療をします。面白かったのは、私の頭の湿疹やデキモノはすべて頭にある胆のうのツボに集中していました。先生曰く、頭には肝臓のツボはないので、肝臓の裏にひっついている胆のうのツボに症状が現れるそうです。全身的な治療なので、中医の鍼灸をうけたあとは帰り道は体が軽くなって倦怠感もなくなり、頭もすっきりしてなんだか賢くなった気までするくらいです。別の中医に鍼灸をしてもらったときは、施術後必ずトイレにいきたくなりました。尿として老廃物を排出する治療をしていたからです。
このように鍼灸にもいろいろな方法があるのですが、関節リウマチ患者さんが鍼灸を検討するときに大切なことは、必ず鍼灸師の資格のある人から衛生的な使い捨て針で治療を受けることと、「自分が楽になれるところ」で鍼灸を受けることです。苦痛なのに理由なく通い続けるのは得策ではありません。そして、それが科学的に効果があろうがなかろうが、健康被害がなく、自分の関節痛や倦怠感が実際に和らぐのであればそれが一番だと私は思っています。わたしたち患者の苦痛は自分にしかわかりませんので、自分の症状が軽くなることは幸せな日々を送るうえで何にも代えがたいことだからです。
良い鍼灸院に出会えますように。