退院後の注意点、仕事復帰の調整方法

 膠原病はストレスや疲労が悪化要因になります。特に退院後は急にではなく計画的に仕事復帰することをお勧めしています。もし今回入院した原因がストレスや疲労にあるのであれば、その原因を取り除く必要があります。でも仕事をしている人にとって原因の完全除去は難しいです。ですからうまく調整できることがないか、仕事に戻る前に検討することが重要になります。もし何を検討したらよいかわからなければ、医師・看護師や産業保健師、メディカルソーシャルワーカーなどが相談にのってくれますので、気軽に声をかけてください。

 厚労省が治療と仕事の両立支援のためのガイドラインを作成しています。仕事復帰にあたりこんなことを調整できないかなーと、ガイドラインをみながら私がよく思うのは以下です。

【関節や筋肉の痛みがある場合】
 通勤時間や距離は短縮可能か? 満員電車を避けた時差通勤は可能か? 在宅勤務は可能か?

【下痢・腹痛が強い場合】
 トイレに行きやすい部屋・作業場所・机の位置に変更できないか?
 比較的中座しやすい仕事内容に変更できないか?
 出勤時間をフレキシブルにすることは可能か?

【日光過敏症がある場合】
 日の当たりにくい仕事場所・机の位置・作業場所に変更できないか?
 制服がある場合、皮膚の露出を避けるために、スカーフ・カーディガン等でアレンジは可能か?

 仕事内容によって調整することは様々なのですが、個室や在宅ワークであればかなり融通が利くので、ポイントはやはり集団生活の中でどこまで個別の調整をしてもらえるかだと思います。医療者が職場に連絡して直接交渉することはありませんので、ご自身が職場と調整することになります。そのために、診断書が必要であれば主治医が書いてくれますし、自分で調整するのが難しいようでしたら産業保健師や産業医に相談するのも一案です。どうしたら産業保健師と連絡がつくのかわからなければ、人事や総務など社員の健康管理を担当している部署に確認してみましょう。

 みなさんを支援するためのサポートシステムがあることをぜひ知っておいて下さい。支援制度の存在を知っているだけで心のお守りが増えて、少し安心できると思います。

厚生労働省 治療と仕事の両立支援ナビ https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/forsubject/

少しの工夫であなたらしく、心地よいペースで暮らせますように。

 

 

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