今年の5月は気温だけでなく天気も日替わりで、湿度が高い日は体調管理がしにくいです。特に冷え性の方は湿度が高いと体調を崩しやすいので、今日は湿度の高い日に体の中で何が起きているのかご紹介しようと思います。
関節リウマチ患者に湿度調整が必要な理由
湿度は水分からできています。余分な水分が体にたまると、倦怠感・浮腫み・関節痛などを引き起こします。さらに梅雨など湿度が高い季節になると、呼吸で湿度の高い空気を吸い込み、皮膚からも湿度を取り込み、水分は体にたまる一方です。関節リウマチ患者さんは余分な水分が症状悪化の原因になりますので、体の中も外も湿度調整が非常に重要です。慢性的に体が冷えていると湿度調整はさらに難しくなりますので注意してください。
身体にたまる水分調節の仕組み
高温多湿になると体はとても繊細な働きをしています。今回は汗と尿だけに注目してご紹介します。
汗をかいて水分を逃がす
体は通常体内にたまる余分な水分(つまり湿度)を汗に代えて外に逃がします。ですから汗が皮膚の表面に出て蒸発してくれないといけません。でも湿度が高いと空気はもともと水分をたくさん含んでいるので汗が蒸発しにくいのです。ですから湿度が高い日は、「汗かいても水分を外に逃がせないぞ!皮膚の表面からも熱の形でだしちゃえ~」となり、体内の水分を汗だけではなく、皮膚表面の熱という形でも放出するようになります。ですから汗かいてジメジメしたり、なんとなく皮膚がモワモワ熱い感じで、不快度満点になるわけです。このジメジメ汗やモワモワ熱をうまく外に逃がす服装を選ぶのがコツですね。

尿として水分を逃がす
体は通常体内にたまる余分な水分を尿に代えて外に出す仕事もしています。湿度が高くなると汗や皮膚表面から水分を出しにくくなるので、いつもより水分が体にたまりやすくなります。だからいつもより多く尿に代えて出せばいいですよね。しかし人間の血液は水分+ナトリウムなどの電解質でできておりまして、そのバランスをいつも保つようにホルモンが働いています。単純に水分だけが溜まってくると、「ナトリウム足りないじゃないのよ~」と思って、尿の中から一定数のナトリウムをストックするんです。そうしてナトリウムが増えてくると「水足りないじゃないのよ~」と言って尿をあまり出さなくします。こうやってバランスの取り合いをしているので、尿だけで体内の余分な水分を外に出すのは非常に難しいのです。尿はもとをただせば血液ですので、大切な血液をそう簡単に失わないように腎臓やホルモンはすごく繊細な仕事をしているのですね。
冷え性が浮腫む理由
浮腫みの正体は余分な水分です。今までお話ししたとおり、汗・皮膚からの熱・尿などでバランスよく体内の水分を出したいのに、湿度が高くなるとこれらの仕事が非常にやりにくくなります。しかし上手にバランスを取れる人がいます。そういう人はたいてい平熱が37度に近めの「正常な平熱を保っている人」です。なぜなら、汗をかいたり皮膚の熱を放散するためには、体が温かくないといけないからです。これは水をいれたやかんが沸騰するのに似ています。

やかんに水を入れて、水が温かくなりお湯になると、やかんの表面は熱をもって熱くなり、お湯は白い蒸気となって外に逃げていきます。このやかんが体、水が血液(水分)というわけです。同じことが体の中でも起きていますので、体が温かく余分な水分を含むときは汗や皮膚の熱として余分な水分(湿気)を蒸発させて外に出すことができます。しかし、冷えた体はずっと血液を温められないため、余分な水分は汗や熱に姿を変えることができず、水を外に出すことができません。すると水すなわち湿気をため込むことになるので、体が浮腫みやすくなります。倦怠感が強くなったり、むくんだり、悪くすると水を含む痰になって咳がでたりするようになります。
湿度を逃がす対策
簡単な対策をいくつか紹介します
- 体を冷やさない=体が温かいと体の中にたまった余分な湿気は排出されやすい
- 軽く汗をかく運動をする=体の血液循環を回して代謝を上げ、余分な湿気を汗や熱・尿として排出しましょう
- 速乾吸収素材のインナーを選ぶ(麻・絹はこれに優れています)=皮膚の汗や熱が蒸発しやすいです
- 風通しの良い服装をする(シャツはおすすめ)=インナーとトップスの間に風が通ると汗や熱が蒸発しやすいです
湿度調節で関節リウマチが悪化しないよう体調管理できますように。