以前、緊急入院用に入院セットを作っている記事を書きました。私はこの緊急入院セットもしくは長期入院で患者さん自身が意識がなかったり認知症の場合の荷物は、ある意味「看護師用」とも思っています。なぜならその荷物を最初に開けるのは、おそらく看護師だからです。だから看護師が見つけやすいようにものを入れておくのもコツです。
入院セット 取り扱いの現実
病棟実習にいって学生の受け持ち患者さんが認知症のときはよくあります。そういうとき、家族がもってきてくれた着替えの入ったカバンの中身がなぜか使われていない時があります。あるとき、患者さんのカバンの中身をみると、暖かいダウンベストやセーター、もこもこ靴下、眼鏡、腕時計などいろいろなものが出てきました。きっと家族が「もう寒くなるから家で使っていたこれを入れておこう」「最近新聞を読めるようになったから眼鏡がいるかな」と思って入れてくれたのだと思います。でも入れてあった場所が鞄の内ポケットや、外のファスナー付きポケットだったので、見逃されてしまったのかもしれません。本来そうであってはならないのですが。私は何度もこういう場面に遭遇しますが、入れてくれた家族の気持ちを思うと、ちょっと涙ぐんでしまいます。私も長く家族を介護した経験があるので、家族を病院に「預ける」気持ちに共感してしまうのです。
入院セットの作り方のコツ
看護師がみても中身が一目瞭然に作る
入院セットを作るときには看護師が一目でわかるようにものを入れることもコツです。患者さんが自分で荷ほどき出来ない場合、鞄の中から物を取り出すのは看護師だからです。私は、着るものや手ぬぐいなど布類はピンクのTABITORAに全部入れています。「布類は全部ピンクポーチ!」の一言で完結です。これを開くと吊り下げ棚になるので中身は一目瞭然です。(でもナースはこれを「吊るす」ってわからないかもね、私が自分で使うには便利なのですが…)
洗面・食事・整容道具は写真中央のグレーの吊り下げポーチに入れています。右上の黒い袋に入っているのは靴です。あとはティッシュと中版バスタオルです。
同じカテゴリーごとにまとめる
できるだけ、食事に使うもの洗面に使うものなど同じカテゴリーのものを一緒にまとめておくと、気づいてもらいやすいです。沢山種類のある巾着袋や、パンパンに詰まった開けにくいポーチなどは、なかなか手を出しにくいのが人間の心理です。ですから、最小限のカテゴリーに分けておくのは得策です。私はピンクTABITORA・黒のポーチ・靴・バスタオル・ティッシュの4種類をボストンバックに詰めて終了。鞄のポケットは使っていません。そこを見てくれないかもしれないから…(見るように教育しているのですがね…)。鞄のポケットは退院するときに書類を入れて帰ることが多いですね。
強力な一目瞭然方法
もっとお勧めなのは、カテゴリーごとに透明ジップロックに入れることです。そうすると中身も一目瞭然なので、看護師は絶対に中身を出して患者さんに使ってくれます。石鹸もジップロックがあれば袋が入れ物になるので便利です。回復してからもしばらく日常生活に看護師のお手伝いが必要な方は、ジプロック方式のほうがお勧めかもしれません。
いろいろな工夫があるのでこれが一番という方法はありません。でも緊急入院セットなので、最悪自分の意識がないときに他人がその中身を触るということを念頭に入れておくと、準備がしやすいかもしれませんね。