主治医とのサヨナラは突然に

 膠原病患者にとって長い付き合いの主治医が変更になる時はかなりショックです。慢性病は一生のつきあいで、良い時も悪い時も繰り返しながら、主治医と試行錯誤、二人三脚で治療を継続しているからです。

 さあ、3月は別れの季節です。主治医とのサヨナラが突然やってくるリスクが非常に高い。特に大きな病院、大学病院や医療センターなどは、一つの大きな企業と一緒で人事異動があります。主治医の中には退職して開業する人もいるかもしれません。

 昔外来の看護師は、先生の後ろに立って診察の補助をしていました。今は電子カルテになり、医療事務さんがいるので看護師は看護外来で患者さんの相談にのったり、傷の洗浄をしたり、処置室で外来通院の点滴をしたり、違う業務につくことが多くなりました。だから患者さんと「**先生、4月から違う病院にいくのよ」なんて世間話することもないし、主治医変更のお知らせは診察室で次回の予約を取る時に突然告白されることがほとんです。

 みなさん、サヨナラは突然になので、告げられたその日が最後なわけです。だから今までの愛を伝えてくださいね。「先生お世話になりました」は定番です。「先生がいないと私困ります!次の先生どんな人?」という人もいる(笑)私は「先生、**の時、**してくれて本当に救われました。」「先生はいつも私の話を遮らないで聞いてくれたから、いつも安心して話せたし、納得して治療がうけれました。」とか具体的に感謝を伝えるようにしています。それは本当に心からの感謝だし、具体的に伝えることによって、先生が次に出会う患者さんにもそうしてくれたらいいなと思うからです。

 医師も看護師も、患者さんからお礼を言われると、どんなにへとへとで辞めたくなっていても「また頑張ろう」と思えます。でも自分がプロとして患者さんにしたことの、どのへんが、どんな風に良かったのかを患者さんから直接聞く機会はとても少ないです。サヨナラの時のお土産選び、しておいてくださいね。突然だから物は買えないよ(笑)

 ちなみに私も外来主治医から、「次から月曜日は新しい先生が来るから、この枠はA先生になります。いいですかね?」と言われました。いいもなにも、A先生って決まってるんだから仕方ないよね。「はい…」と言いかけたのですが、鈴木雅之の歌が頭を流れたので、「え?先生は外来は担当されないのですか?」と聞いたら、「僕は水曜日に担当するんです」って言うので「私、先生に診てもらいたいんですけど」と言って曜日変更しました。まだサヨナラじゃないから愛は伝えなかったよ。

 違う違う、そうじゃ、そうじゃなーい 君を逃がせなーい 愛は渡せない(知ってる?)

 先生、私から逃げきれなかったね。

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