新緑季節ですが寒暖差があり肌寒い日のある季節です。今日は初夏目前の春の季節の薬膳についてご紹介します。
春の養生と膠原病患者
私見ですが、膠原病患者にとって体調の自己管理が一番難しい時期は、春の終わりから梅雨明けまでだと思います。なぜなら忙しい時期で疲れやすいのに、気候変動が激しいことを忘れて自己管理を油断しやすいからです。3,4月は年度代わりで気ぜわしく5月は連休で公私ともに疲労が蓄積しやすいです。一方で、春は寒暖差が激しく風は冷たく連休が明けると梅雨になるため、体調管理が難しい季節でもあります。しかも春の日差しはSLEなど日光過敏症のある方には病状悪化要因ですので注意が必要です。しかし私たちは冬の極寒・夏の灼熱の時期は体調管理に気を配りますが、春は暖かくなり安定した季節という印象が強いので体調管理を油断しやすいです。ですから免疫系が弱い膠原病患者にとって春の養生は重要だと思います。
春は解毒の季節
中医学による春の位置づけ
中医学では春はエネルギーを出し始める季節で、解毒の季節ともいえます。中医学の主治医は「春は沢山の花や野菜が芽吹く。人間も冬にためたエネルギーを外に発散する季節。」と言っていました。中医学では、冬は動物の冬眠と同じで人間も活動を抑えて気力体力をためる季節なので活発な活動は控えます。冬のあいだ体内にはエネルギーだけでなくある程度の毒素もたまるので、春に活動を開始するときに毒も外に出して解毒するということです。ですから春の野菜は苦みのあるものが多く、その苦みは新陳代謝を促し解毒作用を高めます。みなさんも薬膳で旬の食材を食べて解毒をはかり、この時期を乗り切っていただけたらと思います。
筍の効能
中医学では筍は寒性という分類に属し、熱を冷まして取り除く作用があります。熱といっても体内の余分な熱を冷ますという意味で、筍は体内の血液循環(水分の巡り)をよくすることで、汗をかいて熱を外に逃がし、代謝が促進されて熱の原因物質や体内の毒素を外に排出できるように促しているのです。食物繊維も多いので腸内の掃除にも適していますね。
筍料理が適している人
健康な人でも旬の食材を食べることは望ましいですが、中医学では特に水帯(すいたい)や気虚(ききょ)と呼ばれる体質の方に適していると言われています。
水帯(すいたい)は、胃腸が弱くて体に水分をため込みやすい体質です。汗・尿・便などで体の水分を上手に排泄することができず、鼻水・めまい・手足のむくみなどの症状があります。筍は水分の巡りをよくして排泄する食材ですから効果的です。
気虚(ききょ)は、疲れやすく活力がない体質です。体が冷えていて風邪を引きやすいです。筍は体にたまった余分な熱を冷ましてくれますし、余分な熱と水分によって出る痰や咳を沈めてくれますので効果的です。
同じ膠原病患者でも、どの体質に近いかは中医の診断を受けないとわかりません。しかし体の中に熱や水分をため込むと関節痛が出たり浮腫みで倦怠感が増しますので、旬の食材で可能な範囲の解毒ができるのであれば理にかなっています。
春の薬膳として筍料理はいかがでしょうか。私は近所の山の農家さんが毎週筍を売りに来てくれるので、この季節はいつもお安く美味しくいただいています。