かかりつけ医をもつメリット

  膠原病の場合とくに複数の病院を受診しているかもしれませんが、今日はかかりつけ医をもつメリットについてご紹介します。

目次

複数の主治医がいる理由

 膠原病は全身に合併症を起こすので、複数の診療科や病院にかかっている人も多いはずです。例えば関節リウマチの患者さんは、間質性肺炎を合併して呼吸器内科にかかったり、皮膚潰瘍で皮膚科にかかったり、関節の変形が非常に強い場合は整形外科にかかっている人もいます。それは悪い事ではありませんが、誰が「中心となる主治医」ですか?

膠原病の主治医の役割

 複数の病院にかかっていても、必ず膠原病の主治医がいるはずです。膠原病内科、リウマチ内科、整形外科…、病院のあげる看板によって名前が違うかもしれませんが、膠原病患者の場合は、全身状態を管理するために中心となる主治医は膠原病を専門とする医師がお勧めです。なぜなら、膠原病の治療は免疫を抑制することが多く、他の病気を治療するときに免疫抑制状態であると治療がしにくいため、必ず膠原病の治療の調整が必要になるからです。病状が不安定で定期的に薬の調整や検査が必要な方は大学病院のような大きい病院に主治医がいるでしょうし、病状が安定していてコントロール良好であれば地域の膠原病クリニックなどの主治医かもしれません。これは自分の病状によりますのでどこに主治医がいてもかまいません。

 私の場合、大学病院の膠原病内科が中心となる主治医です。膠原病で免疫抑制剤を飲んで免疫力が低下しているため、感染症になると全ての臓器の治療がうまくいかなくなりますから、おのずと他の主治医たちは膠原病を気にします。例えば副鼻腔炎になって耳鼻科で抗生剤を出すときも必ず「膠原病の治療は変更されてませんか?」と聞かれます。新しい免疫抑制剤に変更されたときも、消化器内科の主治医は「明日から新しい薬飲むの?採血で肝臓が悪くなってるから飲むの待って。手紙書くから膠原病の先生に相談して。」と言ってくれました。このように膠原病の主治医は全身状態を管理するために中心となる主治医になることが多いのです。

かかりつけ医をもつ

近所のかかりつけ医の役割

 風邪をひいたり下痢したりなど日々の体調不良を診てもらうために近所にかかりつけ医をもつことは大切です。膠原病は全身に症状が出ますので、近所のかかりつけ医が膠原病専門医である場合はとても助かります。体調不良時にすぐに診てもらえますし、膠原病の薬も調整しやすいです。しかし中心となる膠原病専門医が大学病院にいる場合はちょっと不便です。風邪や頭痛のたびに予約外で大学病院にいくわけにもいかないですよね。
 私の膠原病専門医は大学病院にいるので、近所のかかりつけ医は循環器内科クリニックの医師です。風邪や下痢など軽い体調不良の時はかかりつけ医に診てもらいます。他にも耳鼻科・皮膚科など近所で受診している病院は複数ありますが、その状況は私がまとめて大学病院の膠原病内科医に説明します。このときお薬手帳を見せながら説明すると、主治医は状況が理解しやすいようです。そして大学病院内のことは膠原病専門医が連携をとって把握してくれているというわけです。

 

かかりつけ医をもつメリット

 地域のかかりつけ医をもつメリットは特に体調悪化の時に発揮されます。膠原病は全身の病気なので、肺や腎臓などにも症状が出ます。そのような時にかかりつけ医が全身を広く診れる内科医であれば、膠原病の悪化を疑ってくれやすいです。また膠原病患者は感染症にかかりやすいので、風邪症状がひどい時などは地域の病院で内服や点滴するだけで治るのか、大学病院で集中的に細かい治療をしないといけないのか、かかりつけ医の内科医が判断してくれます。必要なら緊急搬送もしてくれます。それを耳鼻科や婦人科の医師に期待するのは、いささか贅沢かもしれません。

 私の場合かかりつけ医が循環器内科の医師なので体全般のことは診てくれます。感染症がひどいときも大学病院に電話相談し搬送してくれました。「**内科」という看板を挙げているところなら大抵膠原病のこともわかってくれます。ただ心療内科だけは精神科なので難しいと思います。

患者ができること

 複数の医師たちの連携がうまくいくかどうかは、患者さんにかかっていると私は思います。患者さん、あなたは症状の専門家です。治療の専門家は周りでサポートしますが、実はあなたがまとめ役なのかもしれません。医療者は連携しているつもりかもしれませんが、病院が別々で地域に散らばると、把握しきれないことも多々あります。それは連携不足というよりは自然な現象なので、わたしたち患者自身もグイグイと輪の中に入り、自分の治療がうまくいくように声をあげていきましょう。
 大学病院など大きな病院に膠原病専門医がいる場合、日々の軽い体調不良時はどこを受診するべきか主治医に確認しておきましょう。大きな病院に通院しているということは、それだけシビアな治療が必要であるということです。発熱時は絶対に大学病院に電話してほしいと言われるかもしれませんし、「**のような症状なら地域のクリニックでいいよ」かもしれません。それは病状によって違います。自分の身体の管理を、どんな時、誰にたくすべきなのかを知っておきましょう。

 みなさんは、近所にかかりつけ医がいますか?かかりつけ医のメリットを最大限活用してくださいね。

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